心をととのえる山の冒険旅。蓮華温泉ツアー【後編】

心をととのえる山の冒険旅。蓮華温泉ツアー【後編】

春の陽気に包まれた4月の白馬。雪解けが進む麓の町を出発し、私たちはスプリットボードと一泊分のザックを背負い、残雪が広がる山の世界へと足を踏み入れました。


目的地は、静かな山奥にある秘湯・蓮華温泉。

今回のツアーをガイドしてくれたのは、Sweet Protectionのアンバサダーである「廣岡立三」さんと「森亜希子」さん。彼らがどのようにルートを選び、どのような斜面を滑り、そしてお客様とどんな時間を過ごすのか。そんな、日常の延長にはない時間を共有したくて、1泊の蓮華温泉ツアーを企画しました。

 

廣岡立三さん

 

森亜希子さん

 

ここからは前編の続きを綴っていきます。



朝のゆったりとした時間


2日目の朝は、温泉に入る人もいれば、部屋でゆっくり過ごしたり、昨日の疲れを癒すために布団の中でぬくもりに包まれていたり。それぞれが思い思いの時間を過ごしていました。


朝ごはんは、まさかのカレーライス。おかわり自由という嬉しいスタイルで、今日のエネルギーをしっかりとチャージします。空模様はあいにくの天気でしたが、予報よりは回復傾向。少しホッとする空気が、朝の食卓に流れていました。




「また来年も帰ってきたい」と思える場所

出発の準備をととのえて、いざ出発。見送りに来てくれたのは、宿主の田原さんと、先代であるお父さん。2人揃ってのあたたかい笑顔が、体の芯に沁みました。

「次はキャベツを持ってきてくれ〜」

そんな冗談も交えながらの見送り。まるで実家を後にするような、あたたかくて、ちょっと名残惜しい時間。また来年の春にここへ戻ってきて、「ただいま」と言いたくなる—そんな空気感も、蓮華温泉の魅力の一つなのかもしれません。




登り返しと、仲間との冒険

2日目のルートは、昨日滑った乗鞍沢の隣を登り返して、天狗原を目指す約8時間の行程。登っている途中は、雹が降ったかと思えば、日が差して暑くなったり。

天狗原に近づく頃にはガスの中、前の人を見失わないように必死になったり。

崖のような斜面では、クライミングスキンの歩行にヒヤヒヤしたり。

スキン滑走では転びながら、みんなで笑い合ったり。

同じ体験をして、同じ時間を共有する。仲間たちとの冒険を一つ一つ面白がる、そんな時間でした。


そして、ホワイトアウトの中でも、確実に目標を見失わずに私たちを導くガイドの姿には、プロフェッショナルの凄みを感じずにはいられませんでした。




帰路もまた、冒険の連続

行きと同様に、帰りのルートを相談し合うガイドの2人。2人は、前日に登ってきたルートではなく、乗鞍温泉スキー場方面へと戻るルートを選択しました。


天狗原の裏の沢を滑り、登り返し、ラストは第11線リフトの方へと滑り切るルート。

前日よりも長く、体力も必要なコースです。ガイドの廣岡さんと森さんが、私たちの体力と“まだ滑りたい気持ち”のバランスを考えて決めてくれました。


ラストはみんなでパーティーラン。雪は柔らかく、樹林帯の中はハイシーズン以上に急斜面。数時間の登りで体力も削られ、集中力も試される中、それでも最後の最後まで、滑りを楽しみ尽くしました。

麓まで戻ってきたときの皆の顔には、達成感、満足感、そして全力を出し切った疲労感。いろんな感情が溢れていました。




“Sweet Protection”というブランドの本質

 

この2日間を通じて、アンバサダーである廣岡立三さんと森亜希子さんの“本来の姿”に触れることができました。その存在こそが、Sweet Protectionの“財産”なのだと、改めて実感しました。



 

“LIVE TO PLAY ANOTHER DAY”という言葉に寄せて

 

Sweet Protectionというブランドは、一見するとタフでハードなイメージがあるかもしれません。


しかし、“LIVE TO PLAY ANOTHER DAY”——「遊べる日のために、今を生きよう」というメッセージは、都会で忙しく働く人たちの心にも寄り添ってくれます。


エクスペディションのような冒険の中で、滑ることを全力で楽しむ。

その一方で、体を守り、自然の中に身を置くことで得られる“ととのう”感覚も、同じくらい大切にしている。


蓮華温泉の静けさに身を置く時間は、自分を整える時間。

日常から少し離れて、自然の中で過ごすことで、自分が本当に大切にしたい“間”を見つけられるのではないでしょうか。

 



冒険が教えてくれること

都会の喧騒を離れて、自然の中で全力で遊ぶ。滑ることを心から楽しむ。今回の蓮華温泉ツアーは、そんな“冒険の喜び”にあふれた2日間でした。

Sweet Protectionは、そんな冒険が大好きな皆さんの“相棒”になれるブランドでありたいと願っています。そして、自然と人とを繋いでくれる冒険の旅が、また新しいご縁や仲間を運んできてくれることを、私たちは何より大切にしています。





次の“また遊べる日”に向けて。

また、山で会いましょう。



写真:鈴木健人

筆:SweetProtection Japan 林